①高額療養費の制度とは
健康保険に加入している人が、大きな病気にかかってしまった時に手術を受け高額の支払いが発生した場合、医療費を一定額以下にしましょうという制度です。医療費であるので、健康保険の適応の範囲になります。確定申告において、所得税が控除される医療費控除とは別の扱い。
例えば、100万円の手術が必要となった場合、支払額が3割負担の30万円を支払う必要はありません。なんと上限金額の8万円+α(年齢や収入により変動)で済むんです。「じゃあその差額分の92万円は誰が負担するのか?」って話はここでは割愛します。
出典:厚生労働省HP
②支給条件とは
①社会保険や健康保険に加入している人
あくまでも健康保険の加入者に対するものが対象となります。自営業者など、国民健康保険の支払いを滞納している場合は、適応されないことになりかねませんので、必ず支払っておきましょう。
②保険の適用となった医療費
入院時の食費負担や差額ベッド代等、先進医療の先進技術部分など保険外の負担については対象外となります。ということなので、この部分の支払いは公的保険でなく、医療保険やガン保険に加入しておく必要があります。また、食事代・ベッド代は1日6000円×31日×3ケ月=558,000円つまり約60万円の費用は必要となると考えておいていいでしょう。
③注意点
⑴費用の算定期間
高額療養費の「1ヶ月間」とは、その月の1日~31日までになるので、入院が月をまたいだ場合は、別々に算定されます。費用のかかる入院を予定しているならば、月の初めから治療することにしたほうが支払い金額を抑えられます。
⑵支給までの期間
受診した月から少なくとも3か月程度。支払い金額が高額になり、支払いが困難な場合は無利息の「高額医療費貸付制度」もあります。
⑶支給の請求はいつまで遡ることができる?
高額療養費の権利の消滅時効は、診療を受けた月の翌月の初日から2年になります。まだ、高額の入院費用がかかって2年経ってない方は支給申請が可能です!
④金額の算定
70歳以上の方はこちら⬇️
世帯合算ということも可能⬇️
多数回該当の場合はこちら⬇️
出典:厚生労働省HP
⑤手続きはどうやる?
それでは次に高額医療の手続き方法です。手続きとしては下記の2通りがありますが最近は特に入院の場合は事前申請を選ぶ人も多いようです。
事後申請の場合も事前申請の場合も認定証の交付手続きは、保険証に記載されている保険者【ご加入の健康保険組合、協会けんぽ、または市町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度)】などにお問い合わせ下さい。それではそれぞれの申請の流れをご紹介します。
(1)事前申請
入院が長期なる場合など、予め医療費が高額になることが分かっている場合には、事前申請が可能です。
まずは保険者に「限度額適用認定証」の交付申請をします。これは自分の医療費の限度額がいくらかという認定証で申請してすぐ交付される場合や後日郵送される場合いがあります。
この認定証を医療機関の窓口で支払うときに提示することで、支払いが限度額までになるので、高額な医療費を立て替える必要もありません。
(2)事後申請
まずは窓口で医療費を支払います。後日保険者に「高額療養費の支給」を申請しましょう。審査を経て、約3ヶ月後に限度額を超えた分が払い戻されます。
健康保険組合などから連絡が来る場合もありますが、自分で申請しないといけない場合がほとんどです。病院で支払ってすぐには申請してももらえないですが、申請書類の準備は事前にしておきましょう。
医療機関で受け取った領収書が必要なので、申請が完了するまで大切に保管しておきましょう。
⑥まとめ
高額な医療費を要する手術が必要になる場合は誰でも起こる可能性があります。事前にこのような医療制度があることを知っておきますと、心身ともにダメージを受けた状態でバタバタと右往左往することもないと思います。高額な手術が必要だから、消費者金融でローンを組んで高い利子を払うなんてことは、まずないでしょう。
なお、上記の内容は平成30年8月以降のものになり、制度は毎年見直しされています。変更があれば、その都度ピックアップしていきたいと思います。